17th「開始!第二回戦」
*事情により、今回から暫くは文字のみの更新になります。
明けて二回戦の朝6時。度の強い眼鏡をかけたメガネには慣れないニューヨークの日差しが眩しい。昨日も緊張のあまり寝られなかった。
「昨日はなんとか勝てたけど、今日の相手はどんな奴なんだろう…DJワカメと言ったかな…」
ノックの音がしてドアを開けると、ストームさんとプリティちゃんが立っていた。
「オッスメガネ!今日は早ぇんじゃないのか?」
「おはようストームさん。緊張して寝られなくて…」
「大丈夫だってばよ!俺だって相手のイーストバムって奴がどんなんだか知らねぇぞ!」
プリティが椅子代わりに石化したUFOの上に座る。
「イーストバムは確かドイツ出身のDJ、昔、LOVE PARADEって大きいパーティにも出た強者よ。
メガネちゃんの相手は情報があまりないわね…髪の毛がすごいって聞いたわ…。」
「ううっ…どんな奴なんだ。髪の毛で選曲をしたりするやつなんだろうか…」
メガネの不安は高まるばかりだ。
「まぁ気にしててもしょうがねぇ!朝食バイキングにでも行こうぜ!」
朝食バイキング会場には何故かアンダーワールドのメンツと思われる人間はいないようだった。
代わりにミートボールを山盛り平らげる男の姿が。司会のきっちょむだ。
「ああ!君たちご一行!昨日は熱い戦いを繰り広げてたね。皆無事でよかったよ。
「…あの、UFOって人だけ石になったまま戻らなくなっちゃったんだけど…」
メガネがささやくようにつぶやく。
「うーん、今までのDMTでも石になっちゃった人はいないからなぁ…後でお医者さんに診てもらおう。皆今日の準備は出来たかな?」
「バッチリだぜ!」と力強く握りこぶしを作るストーム。
「うんうん、その意気だ!僕は準備があるので早めに会場に行ってるよ!」
スタスタとバイキング会場を去っていくきっちょむ。
「俺達も行こうぜ!UFOは石になっちまったけど一応会場に連れてくか!ファラオから何か治すヒントをもらえるかもしれねぇ!」
会場に皆つき、スタンバイは完了した。
「皆さん!本日も天気よし、気候よし、気合いよし、DMT第二回戦、第一試合、DJストームvsDJイーストバム、
パーティGO!」
DJイーストバムはハゲ頭のグラサン男だった。
「ウイザード オブ ソニック!」
イーストバムが叫ぶと、なんと空中で光る棒が複数出現し、その棒からも光が降り注ぎ、音が出るといった技だった。
https://youtu.be/Hf7NfrK8QHY
Westbam vs Red Jerry - Wizards Of The Sonic (Matt Darey Remix)
あまりのキラキラした曲にオーディエンスも熱狂。
「ストームさん、押されがちだな…」メガネが呟く。
しかしストーム、淡々とハウスをスピンしている。
多幸感に溢れる曲により客はイーストバムに流れがちだ。
(これは…もしかしてロボ対ストームさんの時と同じ展開…!?)
「メガネ、だんだん俺の事がわかってきたじゃねぇか!」
キラキラしたピークタイムの曲に疲れて来たオーディエンス。
ストームの方に客が来始めた瞬間を狙い、炎のスクラッチ、コズミックスクラッチを駆使しつBPMを上げていく。
最後の曲をストームがスピンした瞬間にタイムアウト!そしてメガネの眼鏡もカチ割れた!
「DJストーム君が697/303で勝利!!!!おめでとう!!!」
ストームの決め曲
https://youtu.be/8P4nWfk0ia8
Timmy Trumpet & KSHMR feat. Zafrir - The Prayer (feat. Zafrir) Extended Mix
Aブロックの試合も順当にこなし、Bブロックも進み、いよいよメガネが戦う番になってきた。
「それではDJメガネvsDJワカメ!!パーティGO!」
相手の風貌にビビるネガネ。
「なんなんだあの盛り上がった髪は…おまけに股間以外全裸だし…人間じゃないぞ…」
「フフフ…必殺!オールラウンドワカメ!」
ワカメの髪の毛が四方八方に、恐ろしいほど伸びていく。
そして、髪の毛を操り、まるでダンスのように踊る髪の毛達。かかっている音楽は…ダブだ…!
曲:Sun Collective - For The Sun
https://youtu.be/oqrGLMnySMg
客「すげぇ!髪の毛が踊っているみたいだ!どんなドレッドヘアでもあんな事はできないぞ!」
一方メガネは圧倒されながらも、
「音楽面とは関係ないパフォーマンス、…まだ僕にもチャンスはあるはず!最近買っているブレイクスで攻めるぞ!」
https://youtu.be/1yt69f5CkTs
メガネ曲:Drop The Bass (2020) - DJ Magic Mike, Ondamike
何曲かかけてオーディエンスも半々といった所。
メガネがふと顔を上げると、ワカメが苦しんでいる。
「く、首にワカメが絡まった…死ぬ…苦しい…!」
「いきなりの実戦登用は早かったか…!」遠くから密かに観戦していたリチャード・Δ(デルタ)・ジェームス博士が呟く。
そのまま泡を吹いて倒れるワカメ。
「おーっと!DJワカメが卒倒!よって自動的にDJメガネ君の勝利となります!」
「か…勝てたというか、また勝手に勝ち上がってしまった…まさか僕が三回戦まで行けるとは…!」
次はCブロック。ストーム一行の関係者は出演がないので客席へと戻る。
「ではDJファラオvsサモハンポンキー、パーティGO!」
サモハンポンキーが呟く。
「んー、懐かしい匂いじゃ…だがな…まだ青い!!」
なんと皆がよそ見をしている間に、1000/0でポンキーの圧勝。
「大会前、便所に入っていった親父だ!、何者だ!あのジジイ!」
青ざめたストームが言う。
「う、うーん…」
「あれ、今の声は…UFO!?」
メガネが見るとUFOの固まってた石が砂になってこぼれ落ちて行き、本体のUFOだけ残っている。
「UFO!おめぇ死んでたかと思ったぞ!もうすぐ実家に連絡して墓石を作ってもらう所だったぞ!」
「ファラオに負けたのか…俺は…」
「負けたも負け、ボロ負けだぞ!ほかのみんなはまだ勝ち残ってっぞ!」
「良かったわ、UFO…ファラオがやられて呪いが解けたのね。私は時間がないから会場に向かうわ!応援してね!」
「ではプリティvsスクエアプッシー。パーティGO!」
トラックメイカーでもあるスクエアプッシーの新曲、固定客に苦戦しながらも、
接戦(530/470)でプッシーを下す。
https://youtu.be/hTKuSXuuatM
プリティ曲:Asuka Ando - Jiri Jiri
「危うく負ける所だったわ…」これが世界のレベルなのね。アンダーワールドにいた時もだいぶ強いDJと戦ったけど、
それ以上の強さ…」汗を拭くプリティ。
2回戦が終わり、ホテルへと向かう一行。
「なんとか皆勝ててよかったな!」
「本当ね!UFOは残念だったけど」
「クソッ。俺のレアレコが全然役に立たなかった…」
「今回も相手が自爆してよかったよ…」
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地下500メートルにあるアンダーワールドのニューヨーク支部にて。
椅子に座っている筋骨隆々の男が全体を見まわしながらしゃがれ声で言う。
「ほぼ予想通りの展開か…しかし、あのポンキーという奴…何者だ?KAGE、情報収集に当たれ。」
「ハハッ」
瞬時に消えるKAGEの姿。
「ウインド。明日はストームの一味、メガネとのDJだ。雑魚とはいえ気を付けろよ…」
「承知しました。進化した私の姿、お見せしましょう。」
こうして、戦士たちは休息を取り、いよいよ緊迫の三回戦へと進む…!
クラブDJストーム17スクラッチ-終わり-。
2020.07.16
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