19th「UW!それぞれの戦い」
きっちょむが叫ぶ。
「メガネ君、残念でした!DJウインドの勝利!
そして三回戦、Cブロック次の試合は1000人の票を勝ち取った注目のDJ、ポンキーと、スクラッチに定評のあるDJグレイズです!」
その次、DブロックはDJ KAGE vs プリティ!」
観客席にて、アンダーワールドの基地にいた筋骨隆々の人物が問いかける。
「ポンキー、奴の情報はまだ集まらんか…どうにも気になる」
KAGEが答える。
「ハッ。他大会、パーティの出場履歴を調べたのですが、全く履歴がなく、誰かの変名かもしれません…」
「そうか…奴のDJスタイル。一戦事に全くスタイルを変えている。引き続き調査に当たれ。」
「承知しました!」
Cブロックの準備が整ったようだ。
「それでは、DJ、サモハン・ポンキー vs DJグレイズ、パーティ、ゴー!!」
アゴヒゲをなでながら、ポンキーが呟く。
「2回戦はちとやりすぎてしまったのう…30分ぐらい休むとするか…」
試合が始まるがポンキーのブースは無音だ。
「ポンキー氏、無音!音を流しません!寝転がりながらお茶を飲んでいます!一対どういう事でしょう!」
きっちょむの声にも応えないポンキー。
サングラスをかけ、キャップをかぶった相手のグレイズが叫ぶ。
「ふざけやがって!見ていろ!バトル系の世界チャンピオン三連覇の俺を舐めるなよ!」
きっちょむが再び叫ぶ。
「当然ですが、お客さんは皆グレイズに集まっていきます!」
…そして30分後:グレイズが大盛り上がりしている。
ポンキーがようやく立ち上がり、PCを2台設置し、配線していく。
「そろそろやりますか」
グレイズが一瞥し、
「今更…流れは完全にこっちだ!」
きっちょむがポンキーを見て驚く。
「あ、あれは…!ポンキー氏、PC二台でそれぞれなんとジャグリングを始めました!
一台のPC内では音の同意はできても、2台は同期できません!しかもMIDIコントローラーも使わずにマウスで行っています!こんな事が人間に可能なのでしょうか!?」
観客がポンキーの元に集まる。
「すげぇ!ポンキーすげぇぜ!」
グレイズが呆然と呟く。
「な、なんだあれは!あのテクは!見たこともねぇ!一種のPCDJに対する挑戦とも言える!」
1時間経ち、試合が終わる。
きっちょむが叫ぶ。
「な、なんと今回もポンキー氏が1000vs0!!完全勝利です!」
メガネが動転している。
「これが、世界…あのパッとしないおじさんが…!」
プリティ
「驚いている暇はないわ、次は私、相手はKAGE、行ってくるわ!」
ストームが叫ぶ。
「プリティ、全力で行けよ!」
UFOも叫ぶ。
「金が足りない時は言えよ!」
きっちょむ
「凄い試合でした!しかし驚いてる暇はありません!次はDブロックでのDJ KAGE VS DJプリティ!それでは、パーティ、ゴー!」
KAGE
「黒煙摩擦!!!」
暗い靄がKAGEのブースから広がる!
DJ Krush - Kemuri
ストームが言う。
「ドープかつテクニカルなスクラッチ!俺がやられた技だ!」
UFOが驚く。
「レコードを擦る早さから煙が出てるぞ!」
プリティ
「私だって!歌うわ!」
ARETHA FRANKLIN - BABY, BABY, BABY
きっちょむ
「今日はプリティ、R&Bセットか!ディーバ能力がふんだんに発揮されています!両者引けを取りません!」
仮面の隙間からKAGEの目が光る。
「フフン。ジャマイカ支部代表ごときが私に勝てるとでも思ったか!」
手を組み人差し指を立て、分身するKAGE。その数はブースごと分裂し、なんと4人のKAGEが!
そしてそれぞれのブースから違うトラックが流れる。が、4曲がそれぞれのハーモニーで1曲のように聴こえる。
観客席の男が驚く。
「す、凄い!本人だけじゃなくてブースも分身させてるぜぇ!」
メガネが叫ぶ。
「音圧が凄い!プリティのブースの音までもかき消されているようだ!」
きっちょむ
「KAGEが押しています!理屈はわかりませんが流石のスキルです!」
プリティ
「うっ…私の歌唱能力も通じない…!どうしたらいいの…!?」
(…ここは、いっその事一か八か…!)
きっちょむ
「プリティ!服を脱ぎました!半裸になってあらわな体が!大事な所は出ていませんがすごいお色気です!」
客
「ヒュー!」
ストーム
「プリティ!バカな!お色気は封印したはずじゃなかったのか!」
興奮のあまり、メガネのメガネが割れる。
KAGEが見下すような目つきで呟く。
「ハッ。自分の性別を武器にするか」
セクシーな格好で歌い出すプリティ。
MARIN / NO.1 SEX
プリティ
(全く動揺しないKAGE。やっぱり…)
きっちょむ
「一時間経ちました!試合終了!プリティも歌とお色気で交戦しましたが、720と280票でKAGEの勝利!準決勝進出です!」
走ってストーム達の所へ戻ってくるプリティ。
ストームがプリティの為に着替えを持ってきている。
「服を着るんだ!着なくてもいいけど…」
プリティ
「それより!KAGEの正体がわかったわ!弱点に繋がるかはわからないけど…」
小声で皆に説明するプリティ。
皆「本当か…!!」
2020.08.01
| Comments(0) | Trackback(0) | 19th スクラッチ
